「説得」+「参加」+「平和」~ポリオ根絶に必要なもの~
【2009年9月16日 アフガニスタン発】
←アフガニスタンで実施されたポリオ予防接種キャンペーンで、経口ポリオワクチンを投与される子ども。
ユニセフと世界保健機関(WHO)は、今月、アフガニスタン全土の子どもたちを対象に、3日間にわたるポリオ根絶予防接種キャンペーンを実施しました。アフガニスタンは、世界で、いまだにポリオが流行している4ヵ国のうちのひとつです。
ポリオの根絶は、国際社会の最優先課題の一つです。そして、その達成には、「3つのP」のアプローチ、すなわち「説得」(persuasion)、「参加」(participation)、「平和」(peace)が欠かせません。
9月21日の「国際平和デー」を盛り上げるためのイベントとしても位置づけられた今回のキャンペーンは、5歳未満の子ども120万人を対象に実施され、総勢1万5,000人の保健スタッフが、国内8州(ゴール、ファラー、ウルズガン、ヘルマンド、カンダハール、ホースト、クナル、ナンガハル)で、全ての家庭を一軒一軒訪問しました。
【「参加」を確保するための家庭訪問】
「私には6人子どもがいますが、今日、6人全員が予防接種を受けることができました。」保健スタッフの訪問ではじめて今回のキャンペーンを知ったファティマ・ファルザドさんは、こう話しました。
ファルザドさん一家のように、多くのアフガニスタンの家族は、保健施設を利用することができません。経済的な問題、保健施設まで距離の問題、治安上の問題など、様々な困難に直面しているのです。
「私の州に住む人々の多くは、治療不可能な病気に罹っているわけではありません。人々は、失業、貧困、暴力の恐怖に苦しんでいるのです。各国政府や世界中の人々が、私たちの状況に目を向けてくだされば、アフガニスタンの人々は救われます。ユニセフとWHOが、私たちの地域で実施している活動に非常に感謝しています。しかしながら、もうひとつのメッセージを伝えなければなりません。こうした成果が生まれている一方、まだまだやらなければならないことが山積しているのです。」サイド・モハメド・エクバル・ムニブ ゴール州知事はこのように話しました。
ゴール州の15万6,000人の5歳未満の子どもたちが、このキャンペーンを通じて予防接種を受けました。
【親の責任を「促す」】
アフガニスタンでは、いくつかの州に限られていますが、いまだに、ポリオウイルス(野生株)の蔓延が報告され続けています。しかし、ポリオの症例は、1999年は63件、2006年は31件、2007年は17件と、着実に減少し、成果は既に表れています。
こうした成果は、アフガニスタンの公衆保健省とユニセフ、WHO、国際ロータリークラブ、米国疾患対策予防センターをはじめとする「国際ポリオ根絶イニシアティブ」の協力の賜物にほかなりません。こうした協力によって、ウィルスの封じ込めや流行を食い止めることができました。
しかしながら、2008年からアフガニスタンでの武力衝突が再び激化し、治安が悪化。紛争地域への予防接種チームのアクセスが制限されています。こうしたことから、ポリオの症例数は上昇。今年に入ってから、既に、20の症例が報告されています。
こうした傾向を食い止めるには、親やコミュニティの人々への啓発活動と人々の参加が必要不可欠です。
「ポリオの根絶は、世界中全ての人にとって必要なことです。」WHO・アフガニスタン事務所のピーター・グラフ代表はこう話します。「私は、ゴール州の地域のリーダーに、この地域の全ての親に、子どもたちに予防接種を受けさせるよう求めました。(根絶を実現するためには、)コミュニティの全ての人々が、この活動に参加しなければなりません。ゴール州の子どもたちだけでなく、アフガニスタン全土の子どもたち、そして世界中の子どもたちに対して、私たちはポリオを根絶する責任があります。」
【必要不可欠な「平和」】
今年8月には、4回にわたり、全国一斉の戸別訪問予防接種キャンペーンが実施され、750万人の子どもたちに予防接種が実施されました。ポリオの流行を防ぐため、こうしたキャンペーンに並行して、国中の保健施設で、定期予防接種活動が行われています。
一方、政情不安のため、約10万人の子どもたちが、いまだに予防接種を受けていません。
「全ての子どもたちに予防接種を行うために、平和は必要不可欠です。」ユニセフ・アフガニスタン事務所のキャサリン・ムゲンベ代表はこう話しました。「ほんの数秒あれば、子ども一人に予防接種を行うことができます。でも、その効果は、一生続くのです。」
地雷に関する啓発のための国際デー
~アフガニスタンの大地から戦争の遺産を取り除け~【2009年4月3日 ニューヨーク発】
月4日、第3回地雷に関する啓発のための国際デーが世界中で実施されました。世界に初めての人道支援地雷活動プログラムはアフガニスタンで20年前に始まりました。しかし、アフガニスタンは依然危険な状態が続いています。
1989年の地雷除去活動開始以来、70,000人以上のアフガニスタンの人々が殺害され、重傷を負っています。2008年前半だけで、445件の地雷事故が報告されています。悲劇的にも、危険な金属製品をおもちゃや貴重な金属のくずと間違えた多くの子どもたちが巻き込まれています。2009年最初の2ヵ月中に報告された48件の事故のうち、31件は子どもたちを巻き込んだものでした。ユニセフの支援のおかげで、これらの数は減少しつつあります。
「地雷に関する啓発教育と安全な遊び場を設立したことによって、確実に地雷事故件数が減りました。これは、子どもたちだけでなく、青少年センターを通じて親たちにオリエンテーションを行ったからです。」と、ユニセフ・カブール事務所のナジブルラ・ハメーム子どもの保護担当官は話しました。
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アフガニスタン緊急・復興支援募金
郵便振替:00190-5-31000
口座名義:財団法人日本ユニセフ協会
*通信欄に「アフガニスタン」と明記願います。
*送金手数料は免除されます。
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この活動を始めてから20年経過した現在も、地雷除去、地雷に関する啓蒙活動、社会復帰のための活動において、いまだに8,000人以上がアフガニスタンで活動しています。最も危険な地区の80%で地雷が除去されましたが、いまだおおよそ720k㎡、2,000以上のコミュニティーが危険に晒されています。ナンガハル州のワチ・タンガイ村は、規模は小さいですが重要な成功例です。パキスタンとの国境付近に位置し、地雷のために居住に適さなかったこの村は、現在600世帯が生活しています。ワチ・タンガイ村は、武装勢力により強制退去させられたアフガニスタンの人々のための再定住地区の1つです。多くの人々がパキスタンの避難キャンプで10年以上過ごしました。
【安全な遊び場】
ワチ・タンガイ村の小学校は、村の中心部にあります。学校はユニセフが支援した遊び道具を備えた遊び場としての重要な役割を担っています。設備の整った遊び場の提供は、子どもたちが安全ではない遊び場に入り込む危険を減らしました。
「これは子どもたちを学校に通わせるため、また安全な遊び場に呼び寄せるためにとても良いイニシアティブです。この遊び場は、教育部門における私たちの支援の中で重要な側面になっています。」と、パラカシュ・トゥラドハルユニセフプログラム担当官は話します。
地雷への意識、若者の協力ユニセフ・アフガニスタン事務所は、アフガニスタン全土で137の安全な遊び場を設立するのを支援しました。「この目的は、子どもたちに地雷を踏まずに行かれる遊び場を提供することです。私たちは、青少年情報センターと協力して、若者たちが活動できる機会を与えています。」(ハメーム子どもの保護担当官)
ユニセフは、また地雷への意識を高めるため、150万のアフガニスタンの人々に地面に潜んでいる危険について教育するプログラムを支援しています。現在、地雷に関する啓蒙活動は教育省と共同で実施されています。被害者への支援は、公衆衛生省を通して行われています。
【地雷に関する啓発のための国際デー】
ユニセフはその他国連諸機関、パートナーと共に、2009年4月4日にアフガニスタン以外でも世界中で開催される第3回地雷に関する啓発のための国際デーのイベントを支援しています。ユニセフは過去15年間にわたり地雷に関しての活動を実施しており、コロンビアからコーカサス、エチオピアからスーダンまでの35ヵ国での活動を支援しています。
ユニセフはまた対人地雷全面禁止条約、またそれに関する国際文書への調印、承認、実施を支援しています。