◆2006/03月 |
ラオススタディーツアー現地視察報告 続ラオス「保健/水と衛生」編 |
■概要
*ラオスの子ども10人に1人が5歳の誕生日を迎えるまでに命を落としています。ユニセフは母と子の健康を向上させる制度の支援を行い、乳幼児の死亡率対策のため、予防接種の普及を行い、また下痢予防や栄養補給の正しい情報を教えています。このことにより、5歳未満児の死亡率1000人あたり1990年には163人から2004年65人へと減少しています。(「世界子ども白書2006」参考)
*人口の60%が安全の水を得られるようになりましたが、残りの40%はまだ安全な水を利用していない状況です。そこには国土の3分の2が山地という複雑な地形を持つため、普及には時間がかかりますが随分改善されてきています。支援が始まる前までの川の水汲みの労働は、女性や子どもたちの役割でした。また、65%はまだ下水設備のない生活をしています。ユニセフでは、安全な水の供給と下水設備の設置のためにどの地域で支援を必要としているのか調査を続けています。
*「ブルーボックス」(1ボックス$100~120)という、水と衛生のための教材を教育省・保健省と連携し、WHOと検討の上開発しました。現在はHIVエイズやマラリア、虫歯などの教育を追加したものを学校に2箱ずつ設置できるよう調整しています。現在の普及率は30~50%です。
ルアンパバーンより車で2時間近く走ると低地ラオ族の村です。3箇所の村を訪問しました。
<タリ村>訪問
180世帯ある中で電気を引いているのは136世帯。内パラボナアンテナ(中国製)をつけてTVを見ている世帯が30世帯には驚きでした。昨年11月に給水施設が完成し、村の13箇所に配管されています
<ハッド・サイカム村>訪問
60世帯、人口302(内女性135)人。ユニセフの支援によってきれいな水を確保することが出来るようになりました。貯水タンクの水源は2.6㎞先の山の湧き水の管を家の近くまで持ってきます。トイレも家の近くに設置できました。
<コック・トム村>訪問
77世帯、人口419(女性211)人。水とトイレの整備(村の一部負担)によって学校にもトイレが設置され、子ども達も(特に女の子)安心して排泄できるようになりました。今までは裏の林に出かけて用を済ませていました。学校の建物よりトイレの方が立派になりました。
■母子保健サービス
母子保健サービスは3ヶ月に1度の割りで検診が行われ村の中心部にあたるお寺に集まってきます。5歳未満児の体重・身長の検診を行い成長の確認が行われています。
また、ユニセフでは半年に1回、6ヵ月から5歳未満の子どもに対し健康被害を防ぐためビタミンA錠剤が与えられています。また、妊産婦のための健康診断もこの場で行われています。
■トイレ援助
訪問した3つの村には、ユニセフの援助によってトイレが整備されていました。作りかたの指導を受けた後、各自で作成します。深さ60センチ程に掘った周りをセメントで固め(底は土のまま)家族の人数に合わせ2層、3層とタンクを重ねます。こうすることによって10年間は使用できます。満杯になったらまた違う所を掘ります。
ユニセフからは1軒に付きタンク2個(1個$5)と便器が援助されます。ガス抜き穴や土を掘る労働は各自で行うことが条件です。
■水道援助
水道施設は、各村とも数キロ先の山の湧き水を吸い上げ、家の近くまで届くようになりました。水道代は月/1000キープ(10円程度)。