【スタディツアー報告】
◆2006/03月 |
ラオススタディーツアー現地視察報告 「 トラフィッキング(人身売買) 」編 |
■トラフィッキング(人身売買)について トラフィッキングの被害者の多くは12~18歳の少女たちという報告があります。内訳を見ると、63%は18歳未満、33%は19~29歳であり、4%は30歳かそれ以上です。 左記の写真は「 友好橋のトラフィッキング広告版」で、 2005 年 3 月より国境近くや主な幹線道路沿いに設置されました。これを含め 5 種類の看板があり、それぞれ 2 ~3か月おきに循環させています。看板を見て、目だっていい・ トラフィッキングについてよくわかる様になったなどと評価されています。 この広告版は、労働福祉省とユニセフが協同して作成、設置しています。 ユニセフでは子どもや若者が守られ、安心して生活できる環境を作るために活動し、反トラフィッキングの事件の起訴や法制度の強化、若者への予防策などの取り組みを支援しています。
看板内容 ① よく考えれば大丈夫。人身売買の被害者にならないで!! 私は騙されました...。いい仕事に就けると思っていました。 でも、ほとんど休む間もなく、一日中つらい仕事をしなければならないのです。 女性と子どもの人身売買は違法です!!
■船着場で活動視察 右の写真はメコン川で、 対岸は"タイ"です。川幅の狭い所もあり簡単に泳いで渡れるため不法入国者も後を絶ちません。最近ではタイでの単純労働も期間限定で許可されるようになったことから、安易にタイに仕事を求めて出てゆきます。特に貧困地から多く出てゆきます。調査で分かったことは、タイとの共同のお祭りがあり、そこに出掛けたまま戻らない者もいるようです、また、それは人身売買の可能性もあります。被害者の保護は毎日ありますが、 2000 年には、ユニセフとラオス、タイ警察が協力して 400 ~ 500 名近い被害者を保護しています。 不法入国とトラフィッキングの違い 不法入国・・・自分の意思で不法に入国すること。始めは正式に働きに行くがビザが切れてもそのまま働くケースも多い。タイ側で見つかると、罰金が科せられたり、刑務所に入れられることがある(ドラックなど)。 トラフィッキング・・・だまされて他国につれて行かれ 強制労働などさせられること。(人身売買) |
◆2006/03月 |
ラオススタディーツアー現地視察報告 ラオス「HIV/エイズ」編 |
HIV/エイズを未然に防ぐために、人口の1%以上の感染に及ぶと危険とされる目安があります。ラオスは未だ 1%未満の結果でしたが、感染の発生率は実際にはもっと高くなると思われます。その裏づけは隣国であるタイ、ミャンマー、カンボジア等ではHIV/エイズ感染者が1%を超えている現状があるからです。またトラフィッキングの被害者はHIV/エイズの被害にもつながっており2000年以降感染者は2倍にも増えています。これからも患者が増えることは必至であり、今こそ対策が急がれています。
★セッタテラット病院を視察 午前は薬の飲み方のアドバイスを受けたり、患者同士が互いに経験を話し合うことによって極度の不安を和らげ励ましあい互いを助けます。 午後は僧侶から心のケアを受けメータータン(仏教で思いやり)の心を育てます。また病気の不安を少しでも解消されるよう瞑想して心の落ち着きを戻させます。 入院室は今年の 1月11日にオープンしたばかりです。病室はがらんとしてベットが2~3台あるのみです。器材は何時揃うかも分からず、入院室としての機能を果たしていませんでした。(写真左)
5歳の男の子が肺炎のため点滴を受けています。(写真右)男の子は母親の胎内でHIVに感染しました。母親は夫が死を迎えるまで感染者であることに気がついていなかったと言います。このようにまだまだ認めたくない人、村での差別を恐れ検査を受けない人が多く子どもへの感染率を高めてしまいます。
★衣類工場にて「HIV/AIDS」の活動視察 貧しい地域の若者は、ビエンチャンに仕事を求めて親元を離れます。そうした少女たちが1千人ほど働く縫製工場を視察しました。 ここでは 16歳以上の女性が働いていますが、自己申告のため16歳以下の少女も含まれている可能性はあるようです。夜遊びなどでHIV/エイズの感染の可能性が高くなるため、生活習慣を整えるためにも寮生活を基本としています。約半年ぐらいすると、より良い収入を求めて転職していきます。 この縫製工場でのユニセフの役割は、 HIV/エイズ感染予防プロジェクトとして、ラオス政府の労働福祉省とラオス貿易連盟へ働きかけ、少女たちへのワークショップ開催促進とファシリテーター養成を進めています。ファシリテーターの交通費や日当の支給もユニセフの支援によるものです。 カリキュラムは①どのような状況の人と性交渉を持つと感染するか②体のどこから出る体液が HIV感染に関係するのか③HIVに感染したとき、どのように体から出てゆくのかなどの問題を絵を使うことで、少女たちにわかりやすく、様々なパターンを検証していました。少女たちが工場を出て次の職を見つけるまでに年2~3回は行われています。
★HIVと生きる自助救済グループ視察
感染者対策(治療・健康保持・差別解消等)で無視できない大きな問題が「経済的な問題」です。経済的自立なくしては、薬も買えず療・健康保持もできません。訪問した縫製グループは、2005年11月にメンバー2人で始められ、現在7家族が参加する小さなグループでした。ユニセフと NGOメータータン(仏教用語で思いやり)プロジェクトの援助で2台の中古工業用ミシンと3台の中古家庭用足踏みミシンが置かれ、メンバーが熱心に縫製作業をしていました。工業用ミシンが足りないため技術的に未熟な部分もありますが、お祭りの市で売るなどして収入を得る喜びと、この会を広げて他の人たちも助けられるようになりたいと話してくれました。壁には出来上がった作品が飾られ(写真右)、HIVと共に生きる姿に強さを感じました。 |
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