チリ大地震 最も弱い立場の被災者を守るために
【2010年3月8日 チリ発】
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2月27日にチリを襲ったマグニチュード8.8の巨大地震。ユニセフは、地震発生前から様々な活動で協力関係にあった官民の多くの組織と力を合わせ、震災が子どもたちに与えた影響を少しでも緩和するために、全力を上げています。
ユニセフ・チリ事務所は、日頃から教育や保健などの分野で子どもたちへの様々な直接的な支援を提供してきたNGOなどに、引き続き技術的な支援を提供している他、こうした災害が発生した場合に必要となる飲料水や医療、保護などの基礎的なニーズに迅速に対応するため、他の人道支援団体と積極的に協力して活動しています。
最も弱い立場の被災者=子どもたちを守るために
現在、チリで展開しているこうした活動の中で、ユニセフが特に力を入れているもののひとつは、震災地域の保育園や幼稚園の早期再開のための支援です。ユニセフは、この活動を、全国デイケアセンター協議会(JUNJI)と連携して進めており、具体的な支援の形の一つとして、近日中に、最も被害の大きかった地域にあるJUNJIのケアセンターに、紙おむつを提供する予定です。
ユニセフは、また、チリ全土のホスピスや幼稚園などで、貧困層の人々に対して様々なサービスを提供しているカトリック教会の組織、「オガール・ドゥ・クリスト」の活動を支援。子ども向けのミルクなどの配給活動を行っています。
さらに、多くの被災者が今後衛生面や精神面での被害に直面することが予想されることから、現在、チリ保健省と協力して、衛生や心理的ケアに関する啓発活動のための準備も進めています。
子どもたちに一日も早く「日常」を
今回被災した各地では、触法児童に対するケアを提供していた青少年拘置センターの活動が大きな影響を受けました。ユニセフは、チリ法務省や現地組織の「全国子ども支援会」(SENAME)と協力して、マウレ、ビオビオ、アラウカニア地域のSENAMEが管理している青少年拘置センターに、食糧や衛生用品をはじめとする支援物資を提供しています。
同様の支援活動は、被災各地に設置された子どもたちの避難所でも実施される予定です。
チリの最も弱い立場の人々=子どもたちを支援するため、ユニセフは、チリ社会連帯基金(FOSIS)と協力し、被災地の子どもたちが一日も早く学校に戻り「日常」を取り戻せるよう、支援をはじめています。
FOSISがチリの最も貧しい人々へのサービスとして行っている「架け橋」事業を通じ、ユニセフは、学用品が入ったナップサックを提供する予定です。また、震災のトラウマに苦しむ人々のための情緒的、心理的な支援のため、「架け橋」事業の中で行われている家庭支援プログラムの中で、必要な研修が実施できるよう、技術的な支援も行う予定です。
更なる支援を
ユニセフは、現在、チリ教育省と協力し、マウレとビオビオ地域の全ての学校で、最も優先される支援の内容を調査しています。教員や学校へのアクセス(道路などの状態)、学校までの通学手段の確保、そして教育用資材や教材の確保などへの支援が、今後、実施される予定です。
また、学校そのものが再開されるまでの間、教員たちがコミュニティの中で授業を再開する「つなぎ教育」と呼ばれる活動ができるよう、教員用の教材などの準備も支援しています。
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3月2日、ユニセフ本部は、チリでの緊急支援活動は、ユニセフがすでに持っている資金で対応可能なため、現時点では追加資金の要請は行わないことを発表しました。ユニセフがこうした対応が出来るのは、日頃より大変多くの方々に継続的なご支援をいただいているからにほかなりません。ユニセフ本部ならびにユニセフ・チリ事務所とともに、みなさまの変らぬご支援に改めて感謝申し上げます。
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