ハイチ地震緊急・復興支援募金 第34報
首都以外の被災地で実施される水と衛生に関する支援
【2010年2月24日 ハイチ・レオガン発】
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© UNICEF video |
ユニセフは、パートナーと共に、ハイチの首都だけでなく、その他の被災地の避難所で生活する子どもとその家族に、飲料水と衛生施設、他の必須支援物資を提供している。
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震災前、ピエール・フィジェエさんは、ハイチの首都ポルトープランスから車で1時間ほどのところにある小さな町、レオガンで、弁護士をしていました。しかしながら、この町の他の多くの人々と同じく、フィジェエさんは1月12日の震災で全てを失いました。
震源近くに位置しているレオガンは、震災で町の建物の大部分が倒壊してしまいました。フィジェエさんは現在、臨時避難所で、妻、母親、そして二人の子どもたちと一緒に暮らしています。
「あの地震以来、大変に辛い状況が続いています。震災で家族のうち8人が命を落としたんです。」とフィジェさんは話します。「今のこの状況は、特に、小さなこどもたちにとって本当に苦しいものです。いま、雨季が迫っていますが、避難テントで生活しているので家族を守るためにその準備をすることすらできません。」
首都ポルトープランスに、多くの人道支援団体による支援活動と、メディアの注目が集中している一方、その他の地域もまた、地震によって深刻な被害を受けています。ユニセフは、パートナーと協力して、ハイチ全土の避難所で生活している子どもたちとその家族に、必須サービスを届けるために活動しています。
病気の流行の予防
避難所での支援活動のうち、最も緊急に必要とされているものは、安全な飲料水と衛生施設(トイレ)の提供です。ユニセフは、パートナーと共に、巨大な水枕のような仮設給水タンクの設置や、ハイチ全土の仮設避難所を清潔に保つためにトイレ用の穴を掘る作業を行っています。
「現在緊急事態下にあります。これは、飲料水を届ける必要があること、そして緊急に衛生施設を提供する必要があることを意味します。」ユニセフのロランド・ワルシェ水と衛生担当官は話しました。
「下痢性疾患が流行する可能性が非常に高くなっています。ですから、トイレの設置はとても重要なのです。」
フィジェエさんとその家族にとって、ストレスの多い非常事態の中で受ける水と衛生の支援は、わずかな復興の兆しを感じさせるものです。
ジャクメルの被災者のための支援
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© UNICEF/NYHQ2010-0082/LeMoyne |
ジャクメルのサッカー場に設置された避難キャンプで、ユニセフのスタッフが、他人道支援団体と共に支援物資を提供しているところ。
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かつては、人気観光スポットであったハイチ南部の港町ジャクメルも、この地震によって深刻な被害を受けました。数千人の人々が、現在避難キャンプでの生活を強いられています。
最も大きな避難キャンプでは、ベネズエラ軍によって提供された、中に仕切りのある大型の緊急避難所用テントが利用されています。また、ユニセフは、パートナーと共に、いまだ避難してくる人の数が増加し続けているこの避難キャンプに、飲料水を提供し、トイレを設置しています。
マレパ・オリアリさんは、ジャクメルの避難キャンプにやってくる前は、崩壊した自宅で生活していました。「ここでの生活はそう悪いものではありません。」オリアリさんは、避難キャンプでの生活についてこう話します。「水を飲むこともできるし、調理をしたり、体を洗ったりするための水を使うこともできます。トイレは建設されていますし、私と夫と子どもたちのためのテントもあります。」
震災の影響を受けた人々が、生活を立て直そうと努力をしていると同時に、ユニセフは、パートナーと共に、全ての人が出来る限り普段と同じような生活を送ることができるように全力で活動しています。安全な飲料水と衛生施設(トイレ)の支援が、被災した子どもとその家族の震災後の生活に少しでも役立てられるよう願っています。
ハイチ地震緊急・復興支援募金 第33報
衛生施設の設置活動に若者が活躍
【2010年2月22日 ハイチ・ポルトープランス発】
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© UNICEF/NYHQ2010-0238/Noorani |
ポルトープランスのスラム地区で、飲料水を配給する人の周りに集まる人々。数キロも歩いて飲料水をもらいに来なければならない人も多い。衛生施設(トイレ)はいまだ限られた状態である。
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1月に発生した大地震の被災地では、衛生施設(トイレ)の問題は、最も緊急の課題のひとつです。ユニセフは、全体で110万人以上の人々が緊急にトイレを必要としていると推定しています。ユニセフは、他の人道支援団体とともに、今後短期間のうちに1万基のトイレを設置する他、さらに、6ヵ月以内に2万基のトイレを設置する予定です。
こうした活動の一環として、ユニセフは、現地NGOのIDEJENと協力して、トイレやシャワー室、手洗い場を持つ1000棟の衛生施設の設置を進めています。
7年前に設立されたIDEJENは、15歳から24歳までの困難な状況にある若者に、教育と職業訓練を提供する活動を続けています。スタッフのひとり、ゲルダ・プレビロンさんは、被災者のために最近避難キャンプに設置された新しい衛生施設を見せてくれました。
「あらゆることに対応しています」
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© UNICEF/NYHQ2010-0216/Noorani |
ポルトープランスで、ユニセフの支援を受け、学校に通えない子どもたちをしている現地NGOが、被災者のためにトイレを設置している
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「ここでご覧いただけるのが、IDEJENの若者たちがつくった衛生施設です。」プレビロンさんは、トイレが三基設置された衛生施設を指差して話します。この施設には、手洗い場とシャワー室もあります。「私たちのグループは、排泄物の処理や使用後の水の排出など、この施設の管理運営に関するあらゆることに対応しています。」
プレビロンさんによれば、IDEJENは、避難キャンプで公衆衛生と下水設備の重要性に関する啓発活動も行っています。
現在、1200人の若者がこの活動に協力しています。フィデル・フランツィーさん(22歳)もそのひとり。以前は、十分な教育を受けていないために読み書きができず、将来は限られた仕事にしかつけないと考えていました。IDEJENの活動に参加してから、フランツィーさんは、読み書き・計算を習得し、大工仕事についても学びました。こうした技術は、トイレを設置する際に役立てられました。
コミュニティへの支援
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© UNICEF/NYHQ2010-0239/Noorani |
襲った1月12日の震災で被災した人々のためにポルトープランス市内に設置された臨時避難所の中にある、崩壊した建物の門のそばで、衣服を洗う女の子。
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「人々はこのサービスが必要です。」フランツィーさんは、トイレについてこう話します。「とてもやりがいのある仕事です。トイレを早急に必要としている人々の手助けをしているんですから。」
「みなさんもご存知のように、私たちは、このほかにも、衛生問題に取り組んでいます。」と、フランツィーさん付はけ加えました。「避難キャンプの周辺の路上を清掃する若者のチームもあります。ハイチの震災のための救援活動の一環として、他の若者やコミュニティの役に立っていることを誇りに思います。」
来週中には、衛生施設の第一号が完成する予定です。この施設の耐用年数は、およそ2年間です。
「格差」の是正
「ユニセフは、トイレを設置するために資金を提供しています。また技術的な支援も行っています。」(プレビロンさん)
徐々に雨季が近づくにつれ、保健の専門家は、臨時避難所に人々が密集して暮らしている現状と衛生設備の欠如が、大規模な下痢性疾患の流行を招きかねないと警告しています。
「このプロジェクトに一緒に取り組んでいることを誇りに思います。若者の手で行われているこのプロジェクトは、ハイチでは新しい試みです。」 プレビロンさんはこのように述べ、この活動は、社会が若者を見る目を変えていると指摘しました。「人々は、困難な状況にある若者たちは、何もすることができないと思っています。こうした活動を通じて、私たちは、若者にも技術を身につける能力があり、コミュニティへのサービスを通じて「良いこと」をすることができのだということを見せたいのです。
ハイチ地震緊急・復興支援募金 第31報
父親の物語
【2010年2月19日 ハイチ発】
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© UNICEF/HAITI/2010/Bakody |
1月12日の震災の影響を受けたデュベイユ・マルスラン・アリスティドさんと息子のレマークちゃん(12歳)。
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デュベイユ・マルスラン・アリスティドさんと息子のレマークくん(12歳)は、震災で崩壊してしまった自宅から50キロほど離れた町、フォンド・パリシエンにある小さな野外避難テントで、十数人の他の被災者の人々と共に生活しています。
1月12日の地震発生時、ポルトープランスの自宅の部屋で宿題をしていたレマークくんを、崩壊した部屋の壁が襲いました。
「コンクリートの塊が足の上に落ちてきたんだ。」レマークくんはその時のことを思い出して話します。「動くことができなくて、とても痛かった。」
居間でレマークくんの弟のまだ小さな赤ちゃんをあやしていたアリスティドさんもまた、地震によって崩壊した家の中で身動きが取れなくなりました。しばらくの間、アリスティドさんは頭が混乱し、ほこりの中で、ほとんど息をすることもできませんでした。しかし、暗闇の中で一筋の光を見つけ、その光を辿って、瓦礫の山と化した家の中から、外壁にあいていた穴まで辿り着くことができました。
まず最初に赤ちゃんが、その割れ目の穴を通って救出され、やがて、近隣の人々の協力で、アリスティドさんも脱出することができました。しかしながら、レマークくんの下半身を固定していた重いコンクリートを少しずつどける作業には、さらに4時間を要しました。レマークくんが助け出された後は、牧師をしているハイチの人が、アリスティドさんとレマークくんを救急治療を受けることができる国境の町フォンド・パリシエンに連れて行ってくれました。レマークくんは、激痛に苦しんでいますが、順調に回復しています。現在、骨盤は全てギブスで覆われていますが健康を取り戻しています。
生きていることへの感謝
アリスティドさんの家族は、命が助かったことに感謝し、彼らを助け、必要なケア・サービスを提供してくれた関係当局と国際ボランティアの支援活動を称賛しています。アリスティドさんとレマークくんは、フォンド・パリシエンにあるキリスト教布教教会に設置された避難キャンプで、レマークくんの母親と弟に一時的に再会しました。レマークくんの母親と弟は、ポルトープランスに戻りましたが、いまだ住所は不定です。
「全てを失ってしまいました」と、アリスティドさん。「私たちが持っていたものは全て破壊されてしまいましたから、路上で生活し、自力で生きていくしかありません。私たちを助けてくれるのは、今は神だけです。お導きくださるでしょう。神を信じていますから。」
必要不可欠な支援
ハイチの人口の40パーセント近くは14歳未満です。だからこそユニセフは、ハイチ政府とパートナーと共に、避難キャンプで緊急支援活動を行い、被災した子どもたちとその家族に必須支援物資と安全な飲料水を提供しています。ユニセフは、アリスディドさんのような人々が、震災前よりもよい生活を立て直すための長期的な再建・復興支援を継続して行う予定です。
レマークくんは、将来エンジニアになりたいと思っています。震災以前は、中等教育を卒業し、大学に進学する予定でした。現在、レマークくんは学校に戻る日を心待ちにしています。
ハイチ地震緊急・復興支援募金 第30報
安心して母乳を与えるために設置された「赤ちゃんに優しいテント」
【2010年2月18日 ハイチ・ポルトープランス発】
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© UNICEF/NYHQ2010-0181/Noorani |
看護師のテシイア・エンマキュリーさんは、シャン ド マルス公園の避難キャンプにある赤ちゃんのテントで、生後4ヵ月の女の子の母親のオリビアさんと一緒に最適な母乳育児について復習している。
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崩壊した建物と臨時避難キャンプが並ぶ、震災によって著しく疲弊している町に、母親が安心して赤ちゃんに母乳を与えるための静かな場所を提供する12基の特別なテントが設置されました。
ユニセフからの支援を受けて、この「赤ちゃんに優しいテント」は運営されています。
アナスタシア・セント・ジョセフさん(19歳)は、震災から12日後に出産しました。ポルトープランスにあったアナスタシアさんの自宅は崩壊し、現在は市内にある避難キャンプのひとつで、十数人の家族と共にビニールシートの下での生活を強いられています。ここ3日間、アナスタシアさんは毎日この赤ちゃんテントに通っています。
「二人の子どもたちの栄養について助言してくれるのでここに来ました」と、アナスタシアさん。「ひとり目の子どもには、母乳を与えませんでした。ですから、二人目の子どものために、どうやって母乳を与えるのか教えてもらいました。もし、私が生後6ヵ月間の完全母乳育児を行えば、娘の健康を維持できることが分かりました。」
アナスタシアさんのような授乳期の母親が数百人ほど、この赤ちゃんのテントを利用していると推定されています。「赤ちゃんに優しいテント」のスタッフは、近くにある全ての臨時避難キャンプで、このサービスを宣伝して回っています。
母乳育児の神話
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© UNICEF/NYHQ2010-0188/Noorani |
シャン ド マルス公園の避難キャンプにある赤ちゃんに優しいテントで生後5ヵ月の娘に栄養補助食品を与えるソフィアさん。汚染を防ぐために、安全な飲料水を混ぜて加工している。
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多くのハイチの女性たちが、震災後に広まった「神話」を信じ母乳育児を中断してしまいました。母親が震災の体験などからストレスを受けると母乳が出なくなる、というのも噂のひとつです。また、母親が適切な食事をしていないと、その母親の母乳は良くないものであるという「神話」もありました。
こうした誤解は、粉末の乳児用調製粉乳が支援物資として大量にハイチに送られる事態を引き起こし、赤ちゃんにとって危険な状況を作り出す結果となっています。ハイチの人々の多くは清潔な飲料水を手に入れることができず、汚い水で粉乳の粉末を溶かすことになってしまいます。そしてこれは、赤ちゃんの命を脅かす下痢性疾患を引き起こす要因となり得るのです。
ユニセフのアリ・マクレーン栄養担当官は、乳児用調製粉乳を送る前に、こうした結果を導いていることを人々は認識する必要があると話します。「赤ちゃんを救っていると思っていても、実際は赤ちゃんの健康と命を危険にさらしているのです。」
震災で母親を失った幼い子どもたちのために、ユニセフは、他人道支援団体と協力して、すぐに食べられる栄養補助食品を提供しています。この食品は、子どもに与える前に手を加える必要がないため、汚染された水を混ぜてしまうことによって、子どもが下痢性疾患に陥る危険もありません。しかし乳児用調製粉乳の場合は、汚染された物質の混入を避け、鮮度を保つために、正しく管理された状況で利用されなければなりません。
ユニセフは、より多くの女性がこの赤ちゃんに優しいテントを利用し、このプログラムが拡大されることを期待しています。
最も弱い立場の子どもたちへの支援
ユニセフと共に支援活動を実施している人道支援団体のスタッフはこう話します。「ハイチには多くの子どもたちがいますから、ポルトープランスにある全ての避難テントで、こうした子どもたちのためのテントに対する大きなニーズがあります。さらに、震災で多くの母親が母乳育児を中断してしまった今、この赤ちゃんに優しいテントがあることは子どもたちの幸福と福祉にとって、本当に重要なのです。そして母親への心理・社会的な支援も、こうした状況の中で非常に重要なものです。」
緊急事態下ではいつも、乳児や幼い子どもたちが、被災者の中でも特に弱い立場に立たされます。ハイチの状況も例外ではありません。そのような状況の中、母親にとっても身近な母乳育児は、ハイチの子どもたちの生存と健康を保つためになくてはならないものです。
ハイチ地震緊急・復興支援募金 第29報
テントの学校で勉強を再開する子どもたち
【2010年2月17日 ハイチ・ポルトープランス発】
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© UNICEF/NYHQ2010-0167/Noorani |
ポルトープランスの臨時ケア施設で、ユニセフが支援した早期幼児開発ケアキットに入っていたパズルで遊ぶスティーブ・チェリバルちゃん(8歳 左)と、リチャード・チェリバリちゃん(5歳)。
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ユニセフが設置したテントで学校が再開された日、ヨランダ・セナトスちゃん(9歳)は、1ヵ月ほど前に体験した悲惨な出来事を少しの間忘れてしまうくらい、嬉しい気持ちでいっぱいでした。「絵を描くことと歌うこと、それから友達と一緒に遊ぶことが好きなの」とヨランダちゃんは話します。ヨランダちゃんの住んでいた家と通っていた学校は、1月12日にハイチを襲ったすさまじい地震によって崩壊しました。
ヨランダちゃんは、首都ポルトープランス近郊にあるジャケ山の村で地震の被害に遭いました。山の頂上にある人里離れたこの村へは、険しい道を通って行くしかありません。地震の際には、救助のためのヘリコプターを着陸させることさえも困難でした。そのような中で、ユニセフは臨時の学校やクリニックのためにテントを運び、学校用キットや医療品、基本的な医療機器を支給しました。ユニセフのスタッフは先週、朝早くに村へ到着し、村の人々と共にテントを設置しました。そしてその日にはもう300人の子どもたちのために授業が開始されたのです。
200万人が被災
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© UNICEF/NYHQ2010-0176/Nooran |
ポルトープランスにあるユニセフの物流倉庫で早期幼児開発ケアキット等の支援物資を確認するユニセフのスタッフ。
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ハイチの教育インフラに対する震災被害調査はまだ完了していませんが、ポルトープランスにある学校の90パーセント、また、南部の港町ジャクメルを含むその他の被災地の40パーセントの学校が被害を受け、破壊されたと推定されています。これは、200万人もの子どもたちの「教育を受ける権利」が奪われていることを意味しています。
ユニセフは、ハイチ教育省と共に、被災地の子どもたちのために臨時の学校用テントを150基設置しています。4月初旬までに、全ての子どもたちが学校に戻ることが目標です。
「臨時の学習用スペースは、学校が再建されるまで使用することになるでしょう。」ユニセフのアンドレア・バーセル教育担当官は話します。「また、ユニセフは教育省と協力して、教師となる人材を確保し、すぐに研修を始められるように準備を進めています。」
こうした支援は、非常に重要です。学校で勉強をするということは、震災時の混乱した状況の中で子どもたちに安全で日常的な感覚を与えてくれるからです。ユニセフは、学校用テント以外にも、390セットの教育資材キット「箱の中の学校」と410セットのレクリエーションキットを、現在被災者が生活している10箇所の農村部に届け始めました。それぞれの「箱の中の学校」セットの中には、子ども40人分ものノートやペン、鉛筆、その他の学習用資材が入っています。
子どもたちのための安全な空間
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© UNICEF Haiti/2010/Khadivi |
ユニセフのアルノー・コンション緊急支援担当官は、3,000キット以上の早期幼児開発ケアキットの配布を調整している。それぞれのキットには、6歳までの子どもたち、約50人分の教材や遊び道具が入っている。
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ユニセフはまた、子どもに優しい早期教育学習センターも設置しています。このセンターは、教育資材、学習用教材が備わっているほか、安全な飲料水の確保やトイレの設置についても支援されています。
「子どもたちが落第しないように、集中学習プログラムを行う予定です。調整が難しいと思いますが、準備は整っています。」(アンドレア・バーセル教育担当官)
ユニセフは、他人道支援団体と共に教育省を支援し、現在、教育に関する支援作業部会を主導しています。全ての初等教育再開にむけて、今後3ヵ月間で以下の支援を行う予定です。
- 幼児と子どもたちのための臨時スペースの確保
- ハイチの教育当局と、震災緊急対応及び最終的なシステム再建を担う調整機関への支援
- 被災地の教育的なニーズを完全に把握するための調査と分析
コミュニティの積極的な参加
ユニセフはまた、教育省への支援に加えて、被災地の保護者と教師も、子どもたちのための学習スペースの管理と活性化の活動に確実に参加できるようにするために、コミュニティによる積極的な参加を促しています。
教育分野への重点的な取り組みは、震災後のハイチの状況が、子どもたちにとっての緊急事態であるという事実を映し出しています。人口の40パーセント近くが14歳未満であるハイチでは、まず子どもたちへの支援から再建・復興支援を開始するべきなのです。
さらにユニセフは、震災の発生以来、国際社会から寄せられているかつてないほどの強い関心と支援は、ハイチの全ての子どもたちのために、震災前よりもよい状況に立て直すための復興支援に利用されるべきだと信じています。つまり、教育分野においては、震災前から入学率と出席率の低かったハイチで、学年齢期の全ての子どもたちが学校に通うことを意味します。
ジャケ山のテントの学校では、ヨランダちゃんがノートに文字を書いたり、絵を描いたりしています。ヨランダちゃんの先生、オニクケル・ポールさんは、テントの学校が再開されたことによって、子どもたちや保護者が、ハイチの状況は徐々に改善されていると感じることができたと指摘しました。